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主な解決事例

Case.1

不動産・建築・
マンション管理

鉄道会社による振動被害に関する事例

土地取得代金の倍額以上の解決金で和解

土地利用権(通行権)の存在が明らかでないにも関わらず、依頼会社様所有地内で某鉄道会社が特急列車を通過させていました。これにより発生した振動被害の防止を求めて、鉄道会社を提訴しました。振動レベルの程度を測定するため鑑定手続をするなど、当事者双方本格的に争いましたが、最終的には、鉄道会社に地上権という土地利用権(通行権)を認め、利用権について設定登記する代わりに、鉄道会社が依頼会社様に数百万円の解決金を支払う形で和解しました。

解決金額は、依頼会社様が上記土地を競売で取得した価額の倍以上の金額でした。加えて、解決金額はあくまで地上権設定登記の対価であったことから、依頼会社様は、引き続き土地所有者として、土地の転売益も見込める結果になりました。

  • 地上権とは、用益物権の一種で、工作物または竹木を所有するためなどの目的で他人の土地を使用する権利をいいます。

任意売却の事例

不動産リースバックにより自宅での居住を無事継続

依頼者様が居住している自宅土地建物につき債権者である金融機関から競売の申立てをされ、自宅居住の継続が危ぶまれました。そこで、まず複数の金融機関との交渉をまとめて、協力会社へ依頼者様の自宅を任意売却することを目指しました。そして、紆余曲折を経ながらもなんとか交渉をまとめて、無事任意売却が実現しました。

その上で、任意売却による土地建物の譲受人(買主)から、売主である依頼者様が自宅を賃借し、無事、自宅の居住を継続することができました(いわゆる不動産リースバック)。

  • (担保不動産)競売とは、滞納者からの債権回収のために、民事執行法に基づき、抵当権等の担保権を有する債権者が裁判所に対して申立を行い、裁判所による手続きを通じて、担保不動産を最高価額での入札者に対し売却する手続きをいいます。
  • 任意売却とは、住宅ローンや借入金等の返済が困難になった場合、(一般的には)不動産会社の仲介により、市場で担保不動産を売却することをいいます。この点、債権者は担保権(抵当権等)の実行により競売手続で債権を回収する事もできますが、競売による不動産の売却では現金化までに時間がかかるうえ、市場価格より安くなる傾向にあるので、積極的に任意売却が行われています。
  • 不動産リースバックとは、不動産を協力者に売却し、売主、買主間で新たに不動産を利用するリース契約(賃貸借契約等)を締結し、以後、リース契約に基づき、毎月賃料を支払うことで、これまで通りに売主が不動産の使用を継続する方式をいいます。

借地権をめぐるトラブル事例

地主が借地権の売却に協力しないケースにおいて無事売却

一人暮らしの依頼者様が福祉施設に入所することになり、それまで暮らしていた借地権付建物が不要となりました。そこで、借地権付建物を売却するために、地主に借地権譲渡の承諾を求めました。ところが、地主は借地権の譲渡処分に承諾しませんでした。そこで、裁判所へ借地非訟手続の申立てをしたところ、同手続内で地主と和解するに至り、最終的に借地権を売却することができました。

  • 借地非訟手続きとは、借地に関する契約内容の変更や借地権の譲渡などの場面で、土地の所有者と借地権者との話合いがつかない場合に、申立を受けた裁判所が、借地条件を変更したり、土地賃借権の譲渡を許可したりする等の裁判を行う手続きです。東京地方裁判所では民事第22部が取り扱っています。
  • 借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいいます。

マンション売買の手付金トラブル

手付金返還交渉の末、合意解除の上、手付金を全額回収

不動産販売会社担当者の住宅ローンに付随する団体信用生命保険加入手続に関する説明に納得のいかなかったことから、依頼者様は不動産販売会社に対しマンション売買契約の白紙撤回を求めました。 これに対し、不動産販売会社は手付金の全額没収を主張して来ましたが、交渉の結果、合意解除の上、手付金全額の返還を受けることができました。

  • 団体信用生命保険(通称『団信(だんしん)』)とは、住宅ローンの返済中に、ローン契約者が死亡または高度障害になった場合、本人に代わって生命保険会社が、その時点の住宅ローン残高に相当する保険金を債権者に支払い、ローンが完済となる制度です。
  • 手付金とは、売買契約を交わす時に、買主から売主に渡す金銭のことをいいます。不動産売買契約においては、一般的に手付金は“解約手付”とされています。すなわち、手付金を交付した買主が契約を解除する場合には、手付金を放棄し(売主が手付金をもらうこととなります。)、他方、売主が契約を解除する場合には、手付金の倍額を買主に交付しなければならないとされます(ただし、債務不履行解除事由のある場合または合意解除の場合等は除きます。)。
  • 合意解除とは、売主、買主双方の合意で契約を解除する場合をいいます。

借家の明渡

失踪者の居住部分につき、建物明渡を認める判決に基づき強制執行

木造アパートの居住者が失踪し、3か月以上の賃料が未払いの事案について、現地調査の上、公示送達手続きを利用することで、居住者に対する建物明け渡し認容判決を取得し、明け渡しの強制執行に至りました。

  • 公示送達制度は、行方の知れない当事者を相手として訴訟提起する場合に、訴訟提起等の事実を裁判所の掲示板に公示して、一定期間が経過することで、本人への訴状の送達がなされたとみなして、民事訴訟手続きを進行させる制度です。これにより、行方不明者等に対しても訴訟手続きの遂行が可能となります。

位置指定道路をめぐるトラブル

購入した宅地の一部が実は位置指定道路だったケース

居宅を建てる目的で購入した土地の一部が実は位置指定道路であったため、同位置指定道路部分については居宅を建築できなくなったという事案につき、販売会社に対し、損害の補てんを求めたケース。任意交渉の結果、宅地の一部について使用できないことによる損害分について解決金を支払ってもらいました。

  • 位置指定道路とは、行政庁の基準に則して役所(厳密には特定行政庁)から道路として指定された私道をいいます。建築基準法により、都市計画区域内において建物を建築する場合、敷地が道路に2メートル以上接道していなければならないので、基準に沿って新しく道路を造ることで対応する場合があります。

通行妨害

工事に対するクレームとして通行妨害されたケース

工事業者が取得した土地に住宅を建てる工事を着工したところ、コーンを設置したり、通行にクレームをつけるなどして通行を妨害されたケースにつき、地役権被保全債権とする仮処分申請をして、仮処分手続きの中で、通行を妨害しないことを確認する和解に至りました。

  • 地役権とは、合意で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の利便性をあげるために使用する権利をいいます。たとえば、四方を他人の土地に囲まれた囲繞地(いにょうち)に住まわれている方が、道路に抜け出すために他人の土地を通行する場合に地役権が認められる場合などあります。
  • 被保全債権とは、保全されるべき債権をいいます。他者から権利侵害を受けるおそれがある際に、保全すべき債権を被保全債権といいます。仮処分申請が認められるためには、被保全債権の存在を立証する必要があります。
  • 仮処分とは、債権者からの申立によりにより、民事保全法に基づいて裁判所が決定する暫定的処置をいいます。金銭債権以外の権利を保全するための手続きである点が仮差押えと異なります。

土地区画整理事業に関する事例

収用委員会の裁決により数年分の固定資産税合計額につき損失補償が認められたケース

事業の進捗が停滞したことで、仮換地従前地も使用できない状況が長期間経過していた事案につき、長期間、地権者が負担してきた固定資産税合計額につき損失として収用委員会裁決で認められ、土地区画整理組合から数百万円が依頼会社様に支払われることとなりました。

  • 土地区画整理事業とは、ごく簡単にひらたくいえば、形の悪い土地の形を良くして、また、道路の位置・形状を整備し、土地の経済的価値を高めていく事業です。
  • 仮換地とは、仮換地処分に基づき、従前、地権者が所有していた土地に替えて、仮に割り当てられる土地をいいます。最終的には本換地処分により、もともと所有していた土地とは位置、範囲、形状等において異なる別の土地があてがわれることとなります。
  • 従前地とは、地権者が土地区画整理事業以前にもともと所有していた土地を指します。
  • 収用委員会とは、地方自治法に基づき都道府県に置かれる行政委員会で、その職務は、土地収用法の定めるところにより、土地収用に関する裁決その他の事務を行う組織をいいます。
  • 裁決とは、申請に対する収用委員会の最終的判断内容を指します。裁決書という文書の形で収用委員会の判断内容が示されます。

建物収去土地明渡

不法占有者に対する措置として、占有移転禁止の仮処分手続きを講じた上で、建物収去土地明渡請求訴訟を提起したケース

従前の借地人から、不明朗な経緯で借地権を承継したと称する不法占有者に対し、占有移転禁止の仮処分を取得した上で、建物収去土地明渡請求訴訟を提起し、訴訟手続きにおいて、期限付きで立ち退いてもらう内容の和解に至りました。

  • 不法占有者とは、占有について法律上の権原(けんげん、権限との区別から「けんばら」ともいったりする。)がない場合の占有者をいいます。
  • 占有移転禁止の仮処分とは、相手方(債務者)に対し不動産の明渡しを求める訴訟を提起するに際して、稀に、債務者が訴訟の進行中に第三者や借家や借地に住まわせるなど占有を移してしまい、債務者に対する勝訴判決を得ても、明渡しの強制執行ができなくなるおそれが生じる場合があります。このとき、債務者の占有移転を禁止するために、裁判所による保全手続きとしての占有移転禁止の仮処分命令を求めることとなります。この仮処分命令を得ておけば、もし仮処分に違反して債務者が占有を第三者に移したとしても、債務者に対する本案訴訟で勝訴した場合は、占有者である第三者に対しても(改めて第三者に対する勝訴判決を得なくとも)明渡しの強制執行が可能となります。なお、占有者の氏名が特定できない場合でも仮処分が認められる場合があります。
  • 建物収去土地明渡請求訴訟とは、建物を解体し、土地を原状回復(げんじょうかいふく)した上で、土地の返還を求める訴訟をいいます。

借地の立ち退き

立ち退き料の支払いと引き換えに明け渡したケース

築50年以上の木造長屋の老朽化を理由とする明渡請求に対し、借地人側の立場から、明渡請求に正当な理由のないことを主張立証した上で、借地人と土地賃貸人との間で数百万円の立ち退き料の支払いを引き換えに明け渡す形で和解に至りました。

  • 明け渡し請求とは、土地、建物などから立ち退き、引き渡しを求める請求をいいます。
  • 正当な理由とは、建物居住目的の借地、借家の場合、解約には正当な理由が必要であると法定されています。
  • 立ち退き料とは、立ち退きの引換に支払う金銭、明け渡しの正当な理由を補強する事情となります。

根抵当権をめぐるトラブル

債権の時効消滅を理由とする根抵当権抹消登記請求

借りた覚えがないといった債権者からは意外な理由や債権の時効消滅を理由とする根抵当権抹消登記請求訴訟が提起されたところ、二口の債権につき、たしかに一口については時効消滅が成立していたものの、数千万円におよぶ二口の元本債権全額を回収する和解に至りました。

  • 消滅時効とは、一定期間債権が行使されない場合、債権を消滅させる制度をいいます。
  • 根抵当権とは、一定の範囲内の不特定の債権を極度額の範囲内において担保するために不動産上に設定された担保物権のことをいいます。根抵当権を設定することで債権者としては、債権者と債務者間の継続的取引関係から発生する債権について合意により設定した極度額の範囲で債権が担保されることとなります。取引の都度、抵当権を設定する手間およびコストがない点がメリットです。

水漏れ事故

オフィスビルにおける水漏れ事故の事例

東日本震災時に、水を使用する上層フロアのタンクが転倒し、ビルの老朽化の問題もあり、下のフロアに多量の水漏れが発生。水漏れ被害にあったフロアの補修費用について、加害会社に対し、賠償を請求し、任意交渉において数百万円の解決金を支払う形で和解に至りました。

施工トラブル

施工工事を巡るトラブル

個人住宅の施主が施工業者と建築士に対し、施工内容が不適切であるとして損害賠償請求したケース。建築士の代理人として、施工内容が適正であること、仕様変更については変更合意の成立を主張立証しました。ただし、変更合意については施工業者の議事録等の作成が不十分であったこともあり、設計報酬額の一部相当の解決金支払いで和解に至りました。

筆界特定

実態と整合しない筆界を、筆界特定手続きにより是正

隣地境につき、実態に整合しない東西方向に引かれた筆界につき、筆界特定手続きの結果、実態に適合した(東西方向ではなく)南北方向に筆界線を引く筆界判断が示されました。これにより、地図訂正、地積更正登記がなされました。

  • 筆界特定制度とは、土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて、筆界特定登記官が、外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。
  • 「筆界」とは、土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり、所有者同士の合意などによって変更することはできません。これに対し、一般的にいう「境界」は、筆界と同じ意味で用いられるほか、所有権の範囲を画する線という意味で用いられることがあり、その場合には、筆界とは異なる概念となります。筆界は所有権の範囲と一致することが多いですが、一致しないこともあります。

越境物の撤去

所有権に基づく妨害排除請求により越境物を撤去

隣地所有者が、境界をまたぐ形で越境物を設置していたので、所有権に基づく妨害排除請求訴訟を提起の上、越境物を撤去させました。なお、越境物としては、地上に設置された室外機等の動産以外にも、地中に埋設された私設給水管もあり、いずれについても撤去請求が認められました。

休眠登記の抹消

戦前の所有権移転仮登記の抹消により、不動産売却につなげる

明治時代生まれの名義人による所有権移転仮登記が放置され、土地売買に支障が生じていました。そこで、所有権移転仮登記の時効消滅、弁済による所有権移転仮登記の消滅等を理由として、所有権移転仮登記の抹消登記請求訴訟を提起すべく、被告の所在調査を実施しました。しかし、所在不明であったことから、公示送達手続きを利用して、所有権移転仮登記の抹消登記請求訴訟を提起の上、勝訴判決を獲得し、抹消登記に成功しました。

  • 公示送達制度は、行方の知れない当事者を相手として訴訟提起する場合に、訴訟提起等の事実を裁判所の掲示板に公示して、一定期間が経過することで、本人への訴状の送達がなされたとみなして、民事訴訟手続きを進行させる制度です。これにより、行方不明者等に対しても訴訟手続きの遂行が可能となります。
ご注意
  • 関係者のプライバシー等に配慮し、事案を抽象化して掲載しております。
  • 上記解決事例は、あくまで個別的事案における解決例であり、同種・類似案件につき常に同一水準の解決を保証するものではございません。