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弁護士コラム

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土地収用・公共事業・法治主義

千葉県収用委員会のはなし~失われた16年

暴力による統治システムの機能不全がもたらした負の連鎖

2013.03.25

先日、千葉県収用委員会にて土地区画整理組合に対し損失補償を求める内容の裁決申請を行ってきました。事務局によれば、平成16年の運営再開後、この類型の申請は千葉県内でわずか2件目であり、全国的にも極めて珍しい事例だそうです。

この申請を機に千葉県収用委員会の歴史を調べてみると、戦後日本の法治主義社会において極めて異様な、そして悲劇的な経緯を辿っていたことを知りました。

暴力による機能停止:昭和63年の衝撃

成田空港建設問題で紛糾した時期、千葉県収用委員会は過激派の暴力によって完全に機能不全に陥りました。昭和63年9月21日、当時の収用委員会会長(弁護士)が武装した男らに襲撃され重傷を負わされるという、許されざる暴挙が発生しました。その後、全委員に対する執拗な脅迫が続き、同年10月に全委員が辞職。委員会の運営は事実上完全に停止しました。

[Image of an organizational chart of a Japanese Land Expropriation Committee showing its role in public works and compensation]

インフラ整備への甚大な影響

土地収用法という「公共の福祉」のための制度が機能しなかった16年間、千葉県の公共事業は多大な制約を受けました。任意取得のみでしか用地を整備できない状況は、以下のような負の連鎖を生んだと指摘されています。

  • 公共事業の停滞:用地取得の難航による道路整備の遅れ
  • 補償金額の高騰:任意交渉に頼らざるを得ないことによる公費負担の増大
  • 鉄道運賃への影響:北総線の高額な運賃も、用地取得コストが要因の一つと言われています
  • 成田空港の整備:羽田空港との競争力の差にも、この機能停止が遠因として影響しているかもしれません

平成16年、当時の堂本暁子知事の判断により運営が再開されましたが