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弁護士コラム

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不動産登記・法習俗

富士山と登記 其の1

山頂付近に地番は存在するのか?法務局への取材で判明した実態

2013.05.21

富士山がいよいよ世界遺産に登録されようとしています。いろんな表情を見せてくれる富士山は本当に美しく、古来より多くの人々を魅了し続けています。

富士山の全景

日本の象徴、富士山の壮大な眺望

そんな富士について、以前より気になっていた「登記」の有無について、静岡地方法務局富士支局の方に質問を投げかけてみました。日本の象徴ともいえる場所で不動産謄本は取れるのでしょうか。

「地番」のない山頂付近

結論の概要としては、富士山の上のほう(五合目より上付近)は大部分が国有地であり、固定資産税が課税されません。そのため、公図を作成する必要もなく、筆を特定するための「地番」が存在しないため、不動産謄本も取れないとのことでした。

一方で、下のほうのエリアでは私有地が存在するため、不動産登記情報を取得できる場所があります。私もオンラインで調査してみましたが、確かに登記情報や公図が取り寄せ可能なエリアを確認できました。

浅間神社の所有権と宗教法人の特例

山頂付近(八合目以上)については、かつて国と富士山本宮浅間大社(浅間神社)との間で所有権を巡る裁判が行われ、神社の所有権を認める最高裁判決(1974年)が出ています。しかし、神社は宗教団体でありやはり非課税であることから、公図や地番は作成されておらず、登記はなされていないのが実態のようです。

【こぼれ話:山頂郵便局の登記は?】
山頂付近にある郵便局の建物について問うと、法務局のベテラン職員さんは「建物も登記されていないでしょうね」とのこと。富士山頂の郵便局で二重譲渡による対抗問題が生じることは、現実的には考えにくいという名残惜しいやり取りを終えました。

境界不明の県境

最後に、山頂における静岡県と山梨県の「県境」について尋ねたところ、厳密には特定されていないとのことでした。遭難事故などが起きた際の管轄など、実務的な影響はありそうですが、両県の間で柔軟に対応されているのが現状のようです。

単純な話かと思いきや、非常に奥が深い富士山の登記事情。引き続き、この謎を掘り下げていこうと思います。

つづく