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弁護士コラム

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防災計画・耐震設計・公共インフラ

中央防災会議の巨大地震想定と東北縦貫線(上野東京ライン)

マグニチュード8級の歴史的周期と鉄道構造物の設計思想を巡る疑問

2014.02.22

REIT物件の耐震性は信頼できるという専門家の話を伺っていた際、ふと思い出したのは、内閣府の中央防災会議による首都直下地震の想定についてです。当面の想定では、マグニチュード(M)7.0級とされています。

しかし、ここで一歩踏み込んで押さえておく必要があるのは、同会議自体の分析にある通り、関東圏では200〜300年に一度の周期でマグニチュード8.0級の地震が発生しているという事実です。

【関東圏におけるM8級の歴史】
・1703年:元禄関東地震(M8.2)
・1923年:関東大震災(M7.9)
政府の現在の防災計画は、向こう100年内にはM8級は発生しないだろうという観測の下に策定されています。

こうした政府の想定に準拠したのか、JR東日本が建設した「東北縦貫線(上野東京ライン)」の重層高架橋(既存線路の3階部分にあたる新設構造物)の設計において、衝撃的な事実を耳にしました。同社の技術者が法廷で「M8.0は想定していない」と明言したのです。私も直接、その証言を聴きました。

「半永久的構造物」に求められる耐震性とは

住宅であれば将来的な建て替えの機会がありますが、鉄道軌道は一度建設されれば半永久的に使用される構造物です。200〜300年に一度の事象とはいえ、歴史的に実証されているM8級を想定外としてよいものなのか、強い疑問を感じざるを得ません。

【視点】
インフラの安全基準を「確率」や「想定期間」だけで区切ることの危うさが、ここに露呈しています。東日本大震災を経て、私たちは「想定外」という言葉の重みを再認識したはずです。公共性の高い構造物ほど、より長期的な歴史スパンに基づいた設計思想が求められるのではないでしょうか。


※内閣府 中央防災会議:首都直下地震対策検討ワーキンググループ