土壌汚染・行政問題・不動産鑑定
築地市場の豊洲移転問題の本質的論点
汚染封じ込めの限界と不透水層への懸念、公金支出の適正性を問う
2016.09.25
豊洲市場の移転問題を巡っては、汚染物質がコンクリートによる封じ込めで解決されるという説明に対し、多くの疑問が投げかけられてきました。東京都には、市場関係者や都民に対し、徹底した説明責任を果たす必要があります。
1. 甚大な有害物質の存在と「盛り土」の問題
豊洲地区(東京ガス工場跡地)では、2008年の詳細調査の結果、表層土壌から環境基準の43,000倍のベンゼン、地下水から10,000倍のベンゼンが検出されるなど、極めて高い濃度の汚染が確認されていました。当初「健全土」とされていた後入れの盛り土からも後に汚染が発覚するなど、都の説明には一貫性を欠くエピソードが見受けられました。
2. 「実証実験」と浄化効果の不透明さ
東京都が行った微生物処理や洗浄処理の実証実験には、専門家から「初期値の低さによる汚染代表性の欠如」や「注水による希釈効果であり浄化とは言えない」といった厳しい指摘がなされていました。重要な検証試料である土壌サンプルを都が既に廃棄してしまっている点も、再検証を困難にしています。
3. 複合災害(地震・液状化)への脅威
豊洲は海抜+2mと地下水面が極めて高く、毛管現象による盛り土の再汚染や、大地震時の液状化による汚染水の地表噴出リスクが専門家から指摘されています。不透水層の厚みや性質が不均一である以上、想定される地震動に対して「完全に安全」と言い切れるのか、詳細なシミュレーションと説明が不可欠です。
【不動産鑑定の視点:公金支出の適正性】
汚染対策に膨大なコストがかかる土地であるにもかかわらず、東京都は周辺相場より高額な坪約150万円で用地を購入しています。土壌汚染の減価を考慮しない取引は、公金の適正使用という観点からも大きな疑問を残しています。