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弁護士コラム

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建築基準法・不動産実務

検査済証と法適合性

完了検査未受検物件が抱える「将来のリスク」と用途変更の障壁

2020.02.25

確認申請が必要な建築物(※都市計画区域内のエリアで新築する場合は確認が必要と考えてください。)の工事が完了した後、役所か指定確認検査機関による完了検査を受け、「検査済証」を得る必要があります。

しかし、ひと昔前は、確認済証は交付されているけれども、検査済証が交付されていない物件が多くありました。当時は法規制やコンプライアンスが現代ほど厳しくなく、金融機関が検査済証がなくても融資を実行してくれたことが大きな理由です。

とりわけバブル崩壊後、融資実務は厳格化しました。現在は検査済証がなければ融資が実行されないため、近年の物件では例外なく検査済証が交付されています。しかし、問題となるのは過去に検査済証を取得していない物件です。

用途変更や増改築における高いハードル

検査済証がない物件を、例えば「自宅を飲食店舗に」「賃貸用住宅を民泊用施設に」などと用途変更しようとする際、客観的な法適合性が確認できないため、手続きをクリアすることが非常に困難となります。

【法適合性調査のコストと期間】
現在、建物の構造調査等の所定の手続きを経て法適合性を担保できれば、用途変更を可能とする手立て(ガイドライン)が確保されています。しかし、この調査には数か月の期間を要し、費用も少なくとも数百万円単位は見ておく必要があります。

近年、用途変更に関する規制緩和措置も拡大していますが、検査済証がないことで後々多大なコストと労力がかかる事実に変わりはありません。また、建物売買においても、検査済証がないことは法適合性を証明する客観的資料がないことを意味し、経済的価値(売却価格)にも大きなマイナス影響を与えます。

建築基準法上、求められる手続きは、将来の資産価値を守るためにも、その都度きちんとクリアしておくことが極めて大切です。