定期借家・不動産法務
定期借家と違約金条項
中途終了に伴う貸し手の損失填補と特約の有効性(東京地判平25.6.25)
2020.02.26
定期建物賃貸借契約は、更新のない定期契約とする代わりに、毎月賃料額が通常の契約に比して低額に抑えられる点に特徴があります。契約が満期まで利用されず中途終了した場合、貸し手は以下のような損害を被ることになります。
- ① 賃料差額の損失:通常の契約に比して賃料を低廉としたことによる損失
- ② 計画的な次期募集の困難性:予定されていた終了時期が狂うことで、空き室期間が発生する損害
そのため、実務上は中途解約等の場合の違約条項や、明渡までの損害金に関する合意条項を盛り込むことが慣行となっており、一般的にその合理性が認められています。
裁判例:東京地方裁判所平成25年6月25日判決
定期建物賃貸借契約に関する違約条項の有効性が争われた事案において、参考になる判断が示されています。同裁判例では、約3年間の定期契約において賃料不払いを理由に契約解除となったケースについて、以下の支払いを認めました。
【判決のポイント】
未払賃料等に加え、解除後の翌日から契約満了予定日までの「残期間の賃料相当額」を違約金として支払うことを認めました。また、明渡までの賃料相当損害金(賃料額の2倍の水準)に関する合意の有効性も認めています。
注目すべきは、裁判所が「損害金」と「違約金」の二つの合意に基づく支払義務が発生することについて、二重取りであるとか公序良俗に違反するとは言えない、と判示している点です。
【アドバイス】
定期借家契約においては、満期までの利用が前提とされているため、解約時のルールを明確にしておくことが貸し手・借り手双方のリスク回避に繋がります。特約の内容が著しく不当でない限り、法改正や最新の判例傾向に照らしても、その拘束力は強く認められる傾向にあります。