不動産取引・売買契約
融資特約を巡る手付金のトラブル予防策
ローン特約による無条件解除と、期限・金融機関の明記によるリスク回避
2020.03.09
キャッシュで不動産を購入する場合には関係ありませんが、銀行融資を利用して不動産を購入する場合、融資特約の内容を巡って、買主に対する手付金返還義務の有無が問題になることがあります。
ここで、融資特約(ローン特約)とは、融資承認を得られなかった場合に、契約を無条件に解除できる条件(※無条件の解除権を留保)を約定する特約です。
【なぜ融資特約が必要か】
銀行融資を利用できない場合にまで、支払った手付金(売買金額の10%に設定されることが多いです)が全額戻ってこないというのでは、買主にとって酷だからです。そのため、融資未承認を理由に契約を無条件にリセットする合意を盛り込むのが一般的です。
他方、融資が不確定な状況でいつまでも売主を拘束するのも酷ですので、通常は「融資期限」を設定します。しかし、個別具体的にみていきますと、内容が曖昧でトラブルになるケースが散見されます。
よくあるトラブルの事例
- ① 金融機関の指定を巡る問題
特約に明記された複数の金融機関すべてに申し込みをしていない場合。明記された先が「例示」なのか「限定」なのかが争点になります。 - ② 期限延長の合意を巡る問題
口頭で期限延長を合意した矢先、売主が別の買主を見つけ、「期限内に融資が得られなかった」として一方的に解約・手付没収を主張する場合。
トラブル防止のための実務的アドバイス
前掲①については、金融機関が「限定列挙」した趣旨かを契約書上で明らかにすべきです。また、前掲②については、期限を延長する際は必ず書面で延長合意を記録しておくことが推奨されます。
なお、融資特約を盛り込まない場合、融資が通らなければ手付放棄や違約金支払い義務が生じます。売買契約書案の確認は必須です。どうしても特約を付けられない個別事情がある場合は、契約前に銀行の融資承諾を得ておく必要があります。