建築・施工・不動産
重ね張り工法(カバー工法)の施工トラブルについて
外壁リフォームにおける防水紙の重要性と標準施工の考え方
2020.03.15
重ね張り工法(カバー工法)とは、外壁リフォームに際して、既存外壁の上に新たに外壁を重ね張りする工法をいいます。
日本金属サイディング工業会では、壁体内結露を抑止するため、また、住宅の長期耐久性と快適性の維持・向上の観点からモルタル壁の重ね張り工法に関して、既存外壁への透湿防水シート張りを前提とする「通気構法」を標準工法としています(金属サイディング外壁リフォーム施工マニュアル)。
上記標準工法では、施工手順として、重ね張りに先立ち、モルタル既存壁の屋外側壁面への透湿防水紙張りを推奨しています。[1]
また、例えば、ニチハ株式会社の標準施工法に関する資料には、以下のように定義・指示されています。
「外壁リフォームの場合でも外壁の防水方法の基本は、新築の場合と同じように二重防水構造で防水します。シーリング材のみに頼らず、必ず下地でも防水する事を念頭において施工してください。」
同資料では、防水紙の取り扱いについて、まず「既存外壁面を補修し防水性能を確保できれば、原則として防水紙は使用しません」としつつも、次いで以下の通り指示しています。
「既存下地の防水補修が困難で防水紙に頼らざるを得ない場合には、張る位置は既存外壁と胴縁の間に張り、サイディングの裏面とは離し、必ず透湿防水シートを使用してください」
すなわち、既存外壁での防水機能に期待することを原則的取扱いとしつつも、既存下地の防水補修が困難な場合には、新規外壁の重ね張りに先立ち、防水紙を張ることを指示説明しています。
この点、工事の難度及び工期短縮の観点では、既存外壁及び既存外壁内の防水補修を実施するより、既存外壁の上に、防水紙を張る施工方法のほうが容易、確実かつ工期短縮につながると考えられます。そのため、実際上は、既存外壁の上に防水紙を張る施工手順が選択される傾向にあると思料されます。
以上のとおり、防水施工が重要なのですが、リフォーム会社の中には、経年変化した既存壁のダメージの程度を適切に確認せず、透湿防水紙を張らないまま重ね張り施工する会社があります。雨漏りの原因になりかねませんので、リフォーム工事を発注する際は、十分気を付ける必要があります。
[1] 日本金属サイディング工業会では、重ね張り工法を動画で紹介しています。
http://www.jmsia.jp/technical/