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弁護士コラム

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企業法務・資金繰り

家賃支払い支援法案に関して、自社ビルの銀行ローン返済の支援は!?

賃貸事務所と自社所有不動産の間にある支援の不均衡を考える

2020.04.29

現在、家賃支払いについて、国会で支援法案が審議されており、マスコミもこぞって報道していますが、他方で、自社ビルすなわち自社所有不動産で事業を展開し、当該自社ビル購入資金の銀行借入金が残っている企業についての支援方策についてほとんどスポットがあたっていません。

①家賃支払い(賃貸事務所、賃貸店舗)②自社ビル購入資金の借入金返済とでは、①は純粋な費用、②は資産性費用(※所有不動産のため資産となる)という点での違いがあるので、支払支援の対象として、事業用途の不動産のうち、賃貸物件(家賃支払い)に限ることについて、一見すると一応の合理性があるといえます。

もっとも、自社ビルで事業展開している企業にとっても、銀行への毎月返済が困難となり、経営破綻の危機に直面する可能性が生じる点では、上記①(賃貸事務所)との違いはありませんし、上記①(賃貸事務所)に関して家賃支払い支援がなされる場合も、賃貸不動産に金融機関の抵当権が設定されており、賃貸不動産オーナーの銀行への返済義務が残っていれば、テナントへの家賃支払い支援金が巡り巡って、賃貸不動産オーナーの銀行返済資金に充てられますので、結局のところ、不動産オーナーに対して資産性費用の弁済支援していることと実質的には変わりありません。

結局、一周回って、支払支援対象が上記①(賃貸事務所)に限定され、かたや、上記②(自社ビル購入資金の借入金返済)のケースについては支援されないということとなりますと、アンフェアな要素がないわけではないという点、注意が必要です。

この点、金融庁が金融機関に対し、支払い猶予措置等を要請しておりますので、不動産購入資金の返済で困っている事業者の方は、当面は金融機関との調整により、難局を切り抜ける他ありません。

また、コロナ禍が長期化による資金繰りリスクをコントロールするためには、今後の不動産価格の著しい値下がりが起きる前に、所有不動産を売却の上、家賃支払支援を受けられる、あるいは仮に家賃支払支援措置が打ち切られたとしてもダメージの少ない金額水準の賃貸不動産を早期に選定し、事務所移転を検討することも必要になってくると思われます。

国会とマスコミは、家賃支払い支援のテーマを取り上げる際には、上記要素についても併せて考察の上、議論を深めていただきたいところです。