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弁護士コラム

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不動産・建築・立ち退き

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律と賃貸不動産経営管理士

国家資格化された賃貸不動産経営管理士と業務管理者の選任要件について

2021.11.28

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律により、200戸以上の賃貸住宅を管理している業者は、国土交通大臣に届け出て、賃貸管理業を行う業者として登録する必要があります(※200戸未満の賃貸住宅を管理している業者も登録可)。

登録賃貸管理業者は、営業所・事務所に業務管理者を設置する必要があります。なお、業務管理者の要件を充足する者は、宅建業法上の事務所に設置される専任の宅建士と兼ねることも認められています(※他方で、他の営業所・事務所の業務管理者と兼ねることは禁じられています。)。

上記業務管理者となるには、賃貸不動産経営管理士の資格が必要です(※但し、経過措置あり。)。すなわち、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律において、国家資格化された賃貸不動産経営管理士の資格保有が、賃貸住宅管理業務を行う上で設置が義務付けられている「業務管理者」の選任要件とされるに至りました。

この点、賃貸不動産経営管理士は、重要事項説明などの事務を自ら行うことが法律上義務付けられているわけではなく、賃貸管理業が適正に行われるよう、法定された事項に関する管理及び監督が義務付けられています。すなわち、法律において、管理受託契約の契約内容の明確性、管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性その他の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するために必要な以下の事項について、管理及び監督を行うこととされています。

  • ❶法第13条の規定による説明及び書面の交付に関する事項(重要事項説明及び書面の交付)
  • ❷法第14条の規定による書面の交付に関する事項(管理受託契約書の交付)
  • ❸賃貸住宅の維持保全の実施に関する事項及び賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
  • ❹法第18条の規定による帳簿の備付け等に関する事項
  • ❺法第20条の規定による定期報告に関する事項(オーナーへの定期報告)
  • ❻法第21条の規定による秘密の保持に関する事項
  • ❼賃貸住宅の入居者からの苦情の処理に関する事項
  • ❽前各号に掲げるもののほか、賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な事項として国土交通大臣が定める事項

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が制定された背景として、スルガ銀行の杜撰な融資(※第三者委員会 調査報告書)など、かぼちゃの馬車で問題となったサブリースを規制するという文脈でもあったかと思います。

サブリースであろうとも、サブリース業者からオーナーに対する物価の変動等による賃料減額請求は妨げられるものではありませんし、永久的に賃料保証といった美味い話はあるべくもないのですが、当時、高収入のあるサラリーマンの多数の方が被害に遭う事態が発生しました。

かぼちゃの馬車の物件は、シェアハウスとして非常に使い勝手が悪いといった問題があったばかりか、建材仕様も廉価で、施工も適当な安普請であったにもかかわらず、国土交通省の公表する平均建築単価と比して、著しく高額な価格で売却されていたとされます。要するに、粗悪品が高く売られていたということです。こうしたことも、物件購入に先立ち、購入者において、単価の妥当性について、公表された統計データを用いて少し調べれば、容易に分かることではあります。もっとも、スルガ銀行による杜撰融資もあり、購入者としては、資金調達の目途は容易に得られる状況であったため、不動産賃貸による第二の安定収入が得られるという甘い言葉に惑わされたということも無理からぬ側面もあります。

いずれにしましても、今後、住宅の賃貸業について業法規制が入ることにより、従前よりは、被害の予防に繋がるはずですが、業法規制がなされようとも、投資は常にリスクを伴いますので、投資に際しては、必ず冷静に検討する時間を設けて、慎重に決定することの大切さを忘れてはいけません。

【参考】賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(目的)

第一条 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い国民の生活の基盤としての賃貸住宅の役割の重要性が増大していることに鑑み、賃貸住宅の入居者の居住の安定の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図るため、賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保するとともに、特定賃貸借契約の適正化のための措置等を講ずることにより、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。

※条文中の「特定賃貸借契約」とは、サブリース契約を指しています。