不動産・建築・立ち退き
筆界特定制度について
境界(筆界)が不明な時の解決策と、登記の誤りを正した執念の事例
1. 筆界(ひっかい)とは
「筆界」とは、土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり(いわば、登記上の土地のライン)、所有者同士の合意などによって変更することができません。
この点、筆界は、所有権の範囲を画する線と一致することが多いですが、一致しないこともあります。
2. 筆界が不明で揉めている場合の手続き
隣地権者との間で、筆界位置をめぐって係争がある場合や、筆界が不明な場合等、「筆界特定制度」を利用し、所轄法務局に筆界特定申請することで、筆界位置について行政の判断を仰ぐことができます。
手続きの流れ
- 申請:筆界特定申請がなされると、それを端緒として手続きが開始されます。
- 調査:筆界調査委員(土地家屋調査士等)が、法務局職員と共同して、土地の実地調査や測量調査等を実施した上で、筆界に関する意見書を作成し、筆界特定登記官に提出します。
- 判断:筆界特定登記官は、筆界調査委員の意見内容を踏まえつつ、地図等の内容、敷地に関する具体的・個別的な事情を総合的に検討して、筆界特定の判断を下します。
※筆界特定判断に際しては、前提として現地の測量は必要となりますので、手続き利用に際しては、その費用も見込んでおく必要があります。
3. 筆者の担当した成功事例
筆者が担当した事件の中で、筆界と所有権界が全く相違しており、そもそも、戦後間もない時期の法務局の筆界処理(登記事務)が誤っていたのではないかとの疑いが拭えない案件がありました。
戦後間もない時期ということでシステムも精緻でなかったことが背景としてあるかと考えられますが、いずれにしましても、昭和6年から、東京大空襲のあった昭和20年3月10日を経て、現在に至る、付近の建築物の建築、解体の推移を図示した資料を作成するなどして、現在の筆界が誤っていることを訴えました。
東西に引かれていた筆界が、正しくは「南北」の筆界であったと考えるべき旨の筆界特定登記官の判断を獲得することに成功しました。
筆界特定申請に先立ち、助言を求めた土地家屋調査士の方たちは、筆界特定申請しても是正されることはないとの意見を述べられていたので、成果を獲得した際は、筆界特定申請手続きを利用してよかったと思いました。
トライすることの大切さを痛感した案件です。