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弁護士コラム

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不動産・建築・立ち退き

埋蔵文化財包蔵地に関する説明義務違反について

工事中に遺跡が発覚!仲介業者に説明義務違反はあるのか?

購入した土地で、基礎工事にとりかかったところ、古代の土器や貝塚などの文化財がでてきた場合、事態は急展開することとなります。

敷地内で重機を縦横無尽に駆使した建設工事が始まるかと思いきや、刷毛などで地道な試掘・発掘調査が実施されることとなり、その間の金利負担や(確保した人工の再調整に伴う)工費の増大などのロスを被ることとなります。

それでは、媒介にあたった宅地建物取引業者又は売主である宅地建物取引業者は、こうした「埋蔵文化財包蔵地」であることの説明義務を負うのでしょうか。

過去の裁判例(大阪高判平成7年11月21日)

この点について、平成7年の大阪高裁の判決(判タ915号118頁)では以下のような判断が示されています。

配慮の必要性は肯定
「周知の埋蔵文化財包蔵地とは、地方公共団体の文化財担当部署の資料に登載されており、しかも、貝塚、古墳などの外形的事実の存在、地形あるいは伝説、口伝等によりその地域社会においてその所在が広く認められているものをいうと解することができる。
(中略)
宅地建物取引業者としては、自らの媒介により土地を購入しようとする者が埋蔵文化財包蔵地であることにより不測の負担を負うことがないように配慮すべきであるということができる。」
しかし、説明義務違反は否定

一方で、同判決は結論として業者の説明義務違反を否定しました。その理由は以下の通りです。

  • 宅建業者は専門知識を求められるとはいえ、取引対象土地の隠れた瑕疵に関する専門家的調査や鑑定能力まで要求することはできない(実質的理由)
  • 重要事項説明義務が課される項目として、当時は明記されていなかった(形式的理由)

現代におけるリスクの変化(弁護士の視点)

上記は20年以上前の判決であり、現在でも同様の判断が踏襲される保証はありません。
確かに現在でも、宅建業法上の法定重要事項として明記はされていませんが、以下の事情を鑑みると、状況は変わってきています。

  • 調査の容易性:
    現在では、埋蔵文化財包蔵地マップがオンラインで容易に確認でき、誰でもピンポイントで包蔵地の範囲が判別できるようになっていること。
  • 損害の甚大さ:
    着工遅延による損害額が小さくないこと。

これらを踏まえると、仮に周知の埋蔵文化財包蔵地であることの説明を欠いた場合、説明義務違反と評価される可能性は高まってきていると(筆者の私見ですが)観測しています。

隣接地の場合

なお、埋蔵文化財包蔵地に「隣接した土地」を購入し、そこから文化財が出土した場合については、宅地建物取引業者の説明義務違反が認められないことが原則になってくると考えられます。
もっとも、埋蔵文化財包蔵地に隣接した土地購入にも十分留意する必要があります。

参考リンク

東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス